家に帰ってからも、
彼女のことが忘れられなくて、
ずっと頭にちらついていた。


彼女も、僕に話しかけるなんて、
よほど物好きだと思う。


みんなは、僕のことを
" 障がい者 "と呼ぶ。


もちろん、間違っていることじゃないし、怒ったりはしないけど、

僕は区別されているようで、
その言葉が好きじゃない。



だけど、彼女は、虹心は、

少し驚くだけで、

普通に話してくれた。

帰り際、手を振ってくれた。


僕には、それすらも嬉しく感じられた。



小さい時から、
僕の周りは無関心で溢れていた。

話しかけてきたクラスメイトも、
僕の障がいを知ると離れていく。



だから、僕は、

嬉しかったんだ。


虹心が、初めてだったから。


でも、期待はしない。
しちゃいけない。

それで、何度も裏切られてきた。



僕は教科書を閉じると、
ゆっくり目を閉じた。