「あのなぁ……」
「文句は受け付けないよ。ほら、行こ!」
成宮は有無を言わさぬ速さで俺の腕を掴んだと思えば、
早歩きでどこかへと歩き始める。
「え、ちょ!どこ行くんだよ!?」
俺はただ、成宮からの
『今日11時駅前集合』
というLINEに従っただけなので、
行き先や目的は全く知らない。
「どこって……あたしんち」
「はぁ!?」
その言葉に、俺は足を無理矢理止める。
「うわっ…な、なに!」
俺が急に止まったせいで、
成宮が数歩後ろへよろめく。
「ちょっ…お前んちって、それはいろいろヤバいだろ…」
「やばいって、何が?」
成宮はキョトンとした顔で俺を見上げる。
学校の時よりも薄めのメイク。
普段はキツ目な顔も、だいぶ可愛く見える。
「いやっ…だから…。俺がお前の部屋に行くのはいろいろと問題が…」
成宮は俺の言葉を聞くと、ふっと鼻で笑う。
「大丈夫。瞬君は女の子に手を出せないヘタレだって知ってるから」
その言葉に、俺はグサリとくる。
「手を出さないんじゃなくて、出さないのな」
訂正に成宮はまた鼻で笑った。