「ったく、時間厳守って言ったのは誰だっての……」


am 11:07 駅前広場にて。

俺は何故かこの日、
成宮に呼ばれて駅前で待たされていた。


実際はこんなことしている場合じゃないのに。
今日は虹心と明のデートの日。

いろいろ、心が穏やかではないのだ。


と、その時、
突然視界が暗くなる。


「だ〜れだ」


ふわりと柑橘系の匂いに包まれたかと思えば背後からそんな声。

一瞬キョトンとしたものの、
すぐに正気を取り戻す。


「成宮」


そう声をかけると、
パッと視界が解放された。


「あったり〜!おっはよ!」


元気に挨拶を告げるそいつは、
悪びれた様子もなく、
いやに整った顔をニヤつかせていた。