「ん〜!楽しかったぁ!」
西日に照らされる海を前に、
私と明君は砂浜に座り込んだ。
デートも終盤。
ドキドキな時間は流れるのが早いもので、
もう日が沈みかけていた。
『今日はありがとう。すごく楽しかった』
明君からLINEが届く。
今日だけで、何通もLINEをやりとりした。
たわいもない会話ばかりだけれど、
それも私たちの思い出の一つ。
『私も、すっごく楽しかった!誘ってくれてありがとう!』
そう返すと、
明君からの視線を感じた。
西日に陰る微笑み、
艶めく長い睫毛、
風が吹くたび揺れる黒髪。
全てを至近距離に感じる。
人を好きになるって、
素敵なことだ。
そんなことを考えていると、
明君の手が私の髪へと伸びてきた。
サラリと後ろ髪を撫でられ、
そのままグイッと明君の胸へ引き寄せられた。