「一途って……別に、そんなんじゃないっすけど…」
「ふふふ。若いねぇ〜」
「1歳しか変わらないじゃないっすか…」
柊さんの満面の笑みを呆れ顔で見ながら、はぁ、とため息をつく。
柊さんは、俺が物心ついた頃から、
既に俺の記憶にいた。
詳しくは聞いたことがないけれど、
きっと、俺や虹心みたいに、赤ちゃんの時からここで育ってきたのだと思う。
いつもニコニコと笑ってる柊さんは、
俺たちにとってお兄さん的な存在だった。
「恋かぁ。いいねぇ〜」
「ほんとに思ってます?」
俺が虹心のことを好きだというのは、
いつの間にか柊さんにバレていた。
「言わないの?虹心ちゃんに。誰かに取られちゃうかもよ?あの子可愛いからねぇ」
「…逆に聞きますけど、柊さんだったら言えるんですか?だって、小さい時から一緒に暮らしてるんすよ。男とすら見られてないっすよ」
自嘲気味に笑う俺に、
柊さんが優しく微笑む。
「難しいよね。なんか、兄弟の恋愛みたいで萌えるね〜」
「殴りますよ」
嬉しそうに他人事のように笑う柊さんを軽くど突く。
「あはは、もう殴ってるよ」
俺は何が楽しくて笑ってるのか分からない柊さんを横目に、
一人、これからのことを考えていた。