教室は知らない顔で溢れていた。
うちの学校は、
県きってのマンモス校だから、
3年間名前すら知らない同学年の子もいたりする。
希望と同じクラスでほんとによかった…。
入ってきたドアを閉めようとした時、
後ろから少し強めに頭を叩かれた。
「いでっ!?」
痛くて頭を押さえながら振り返ると、
小さい頃から見慣れた長身がいた。
「よぉ、虹心。相変わらずちっせぇなぁ」
「しゅ、瞬!?なんで!?」
私は目を見開く。
この茶髪長身は、
私、芹沢 虹心の幼馴染、
安西 瞬だった。
「同じクラスだよ。ったく、なんちゅー腐れ縁だよな〜」
瞬は、私と希望の間を、
相変わらずダルそうに通っていく。
なんだ…瞬も一緒なんだ。
よかった…。
心の中に、暖かいモノが溢れる。
瞬とは、お互い赤ちゃんの時から一緒に生活してきた間柄で家族同然だったから、なんだかんだ言ってとても安心する。
「よかったねぇ、にこっち〜」
希望がニヤニヤとした顔を私に向けてくる。
「何言ってんの!?ただの幼馴染みだからね!?」
「ふーん…まぁ、いいけどねぇ」
ニヤニヤしたまま、
ズカズカと教室に入っていく希望を
私は駆け足で追った。
いい1年になりそうだな…。