君に声届くまで。



「了、ちゃんと飯食えよ!」


「了君、写真待ってるよ!」


だんだん、
小さくなっていく了君の姿。


「ありがとう、みんな!ありがとう!」


強く叫ばれたその声に、
私は涙を堪らえることができなかった。


ありがとう、了君。
本当に…。


最初は、全然話してくれなかったね。
何度話しかけても、無視されてばかりだった。

でも、だんだんと話してくれるようになって、
たくさんバカにされたけど、
すっごく大切な、私の家族だった。

大切な、
私の弟だった。



「またね、了君!!」


涙を拭いながら、
足を止めて叫んだ。


さよならだけじゃない。

たくさんの未来が、
君を待ってるんだね。


車が見えなくなるまで、
私と瞬は肩を震わせて、
一方向を見つめていた。


地面では、陽炎が揺らめいでいる。


ひんやりとした風が、
私と瞬の間をから回っていた。