君に声届くまで。



数分かかって、
やっとガレキから這い上がった。


もう、火の手がすぐそこまで迫っている。


「母さん、早く…!」


僕はガレキを持ち上げた。
けれど、僕の弱い力じゃびくともしない。


母さんは、僅かに首を振った。


「逃げて、了」


その言葉に、息をするのも忘れた。


「どういうこと、お母さん…」


僕は母さんの手を強く握った。
血がこびり着いていて、
どことなく、小さく感じた。


「大丈夫わ、あなたは強い子だから。しっかり前を見ていきなさい」


僕は思う。
"いきなさい"
それはきっと、

"行きなさい"
じゃなくて、

"生きなさい"
って意味だったんだね。


僕1人で、生きる。
そんな意味の、生きなさい。
そうだったんだよね、母さん。