君に声届くまで。



「あっ、ごめんなさい。私、余計な事を…」


神崎さんは、それ以上口を噤んでしまった。


「あの、失礼ですが、どうして了なんですか?うちの施設には、もっと小さい奴だっています」


神崎さんの目が、
ビクッと大きく見開かれた。

私たちは、神崎さんが了君の先生だったことしか知らない。

どうして、なんだろう。


「私、高校生の頃に遭った事故で、子供を授からない身体になってしまったんです。

だから、子供が大好きだったから、それなら教師になろうって、自分の子供のように生徒を見てやれる、教師になろうって決めたんです。

12年目の時、了君に出会いました。
笑顔が素敵で、クラスの中心にいるような生徒でした。

けれど、夏休みが明けた頃から、
了君から笑顔が消えました。

ご家族が亡くなったのです、無理もありません。

了君は親戚の家をたらい回しになった挙句、施設へ預けられました。

私は、了君が不憫でならず、
県内の施設をたくさん回りました。

探して2年目。
やっと見つけた了君は、
転校した時とはまるで別人でした。