君に声届くまで。



「了は…この2年間、ずっと1人です。誰とも、打ち解けようとしないで、何かを抱え込んでいるみたいで…」


ポツポツと話し始めた瞬の言葉に、
神崎さんは、まつ毛を伏せた。


「やっぱり…。すごく変わっていたから、びっくりしたんです…」


そう言って1枚の写真を手帳から取り出した。


「これ、1年生の時の了君です。こんなに、笑顔が可愛かったのに…」


写真を見て息を飲んだ。

体育祭の写真だろうか。
3人の男の子が、肩を組んでピースをしている。

3人の中央。
そこには、見慣れたはずの男の子が、
見慣れない満面の笑みで写っていた。


これが…本当の、了君……?


写真から、目が離せない。


「どうして、何が了をこんなに…?」


瞬は写真から顔をあげると、
訝しげな表情で神崎さんを見る。


「了君は、きっと、自分のせいでご両親が亡くなったと思っているんだと思います……」


「えっ、了君の家族は…亡くなってるんですか?」


私たちは、園長たちに、
了君は虐待を受けていた、と聞いていた。

亡くなっていた、なんて、1度も……。