俺は、虹心の視線を感じながら、
自室へ戻ってきた。



「はぁ………」



俺は、大きくため息をついて、
ベッドに倒れ込んだ。




少し、言い過ぎてしまったかもしれない。


成宮のことも、

明のことも。



虹心が成宮に施設暮らしの事を言わないのは、きっと小さい頃のトラウマがあるからだと思う。



"親がいないなんて可哀想"



俺だって何度も経験してきた。

同情の目、蔑む目。



でも、施設の園長夫婦も、その娘さんの綾子さんだって優しかった。


授業参観にも欠かさず来てくれた。


俺は、一度だって自分を可哀想だと思ったことがない。


だけど、周りの目はそうはいかない。

俺だって分かってる。



でも、
たとえどんなことがあっても、

成宮が虹心をそういう目で見ないのは、

虹心が一番分かっているハズなのに。