君に声届くまで。




「施設での、了君の様子を教えていただけますか?」


施設から程近い閑静な喫茶店に入った私たちに、
神崎さんは、早速私たちに話を持ちかけた。


「了は……」


瞬の言葉が途切れる。

多分、本当の事を言ってもいいのか悩んでいるんだろう。

了君は、施設では笑いません。
了君は、いつも1人で塞ぎ込んでいます。


言ったら、
言ってしまったら、
神崎さんは了君とは別の養子を探してしまうかもしれない。

もっと、素直で、悩みがなくて、
もっと、もっと……。


「お願いします。本当の事を教えて下さい。私は、了君を絶対に裏切ったりしない」


神崎さんの真っ直ぐな瞳が、
私たちを射抜く。

瞬は小さく頷いた。