『大丈夫?虹心』


ボーッとしながら、
綾子さんお手製の卵焼きを頬張っていると、左手に持ったスマホが震えた。

今日は、夏休みだけど、
私たち3年生は登校日。


明君は、私を心配げに見つめていた。


『うん、大丈夫だよ』


花火大会から1週間。

明君と私は、事実上"カップル"というヤツになったけれど、これといって以前と進展はなかった。

キスされたときは凄く驚いたけれど、
嬉しくて、嬉しすぎて、
私は涙が止まらなかった。(あの後明君にめちゃくちゃ謝られた)

今だって、たまたま希望と瞬が飲み物を買いに行っているから2人きりなだけだ。


なんだか、代わり映えのない日が続いている。
了君のことを除いては。


『良かった』


目の前の明君が優しく笑う。
その笑顔が眩しくて、私は顔を紅潮させたままスマホに視線を戻した。