「ん、んまい」
そんな声を漏らす瞬に、
私は聞く。
「瞬は…明君とどんな関係なの?」
その質問に、瞬は目を丸くする。
「高1んとき、同じクラスだっただけ」
瞬は台所に置かれたイスに座ると、
じーっと私を見つめた。
「さっきも言ったけど、あんま深入りすんなって。あいつは……」
瞬は、言いかけたところで、しまったというように言葉を止めた。
「障がい者だからって…言おうとしたの?」
瞬の言おうとしていたことなんて、
すぐ分かるよ。
私は手を止めて瞬を見据えた。
小さい頃、私も体験したことがある。
親がいなくて可哀想だからと同情されて、
仲がいい子との間にも、
見えない壁があった。
変なふうに一目置かれて、
信じられる人がいなかった。
でも、そんなのおかしくない?
私も、明君だって、
多少のハンデがあるけど、みんなと変わらない人間なのに。
普通ってなんですか?
普通じゃないとおかしいですか?
「別に……そういうわけじゃないけど…。お前が傷つくのは見たくないから」
「え?どうして…?」
私の問いかけには答えずに、
瞬は台所から出ていってしまった。
初めて話したけど、
少ししか話せなかったけど、
明君は、とても優しい人だった。
ただ、
会話ができないというハンデは、
大きすぎるだけなんだ。
障がいなんて、関係ない。
友達になりたいなって思ったから。
ただ、それだけなんだ。