「別に。瞬たちには関係ないだろ」
そう言うと、ヘッドホンのコードをパソコンに差し込んだ。
部屋に広がっていた雑音が、
一瞬にして消える。
「関係なくねぇよ。なんでお前、折角のチャンスだろ!?まだ中学生なんだから、高校はもっと自由に選べるし…」
俺が、そうだったから。
本当は、陸上の名門の私立に行きたかった。
でも、6人も子供を養うんだ。
到底、そんなわがまま、言えるはずもなかった。
大会で遠征が多くなる運動部には、
入部することができない。
不自由はなくても、
そういう所で我慢だってでてくる。
「家族……できんだぞ……」
俺の呟く声が、
了の耳に入ったかは分からない。
けれど、了は、
「そんなの、いい。僕は家族なんて欲しくない」
そう言って、どこか悲しそうに俯いた。
まるで、過去の事を思い出しているように。
きっと、了には、
俺たちが知らないような過去がまだあるのだろう。
それが、了に足枷を作っている。
俺には、そう思えて仕方がなかった。


