「…そうね。すごく優しくて裕福な御夫婦で、施設なんかより絶対いいと思うのよ。でも、了解が嫌だと言っていて…」
「えっ…?」
了が、養子縁組を拒否した。
どうして?
施設より、自由で、
憧れていた生活が、
家族ができるというのに。
引け目を追うことなんて何もないのに。
「しょうがないよ、お母さん。了は実の家であんなことがあったんだもん」
台所にいた綾子さんが、
缶ジュースを片手にリビングに来た。
園長夫人から聞いた了の家庭は、
確か、家庭内暴力が酷かったとかだったと思う。
確かに、すぐに養子、なんて切り替えられないかもしれない。
でも、だからって……。
「そうよねぇ…。でも、了君だって知ってる人なのよ?安心だと思うけど…」
その言葉に、
えっ?と固まる俺たち。


