その言葉に、
瞬きするのも忘れた。
「養……子……」
虹心の口からそんな声が漏れる。
10年くらい前、1度5歳年下だった男の子が引き取られてから、ずっと養子縁組を希望した人は来たことがなかった。
しかも、中3の了を。
だいたい、施設で養子先が見つかるのは、年齢が低い場合が多い。
「よ、良かったじゃん!了君、家族ができるんでしょ!」
虹心は少し迷いがあるように言う。
今まで一緒に過ごしてきた"家族"が、
遠くで新しい"家族"を作ることの寂しさ。
大切な"弟"が、
新たな幸せを掴む嬉しさ。
そして、
自分が憧れ続けてきたものを得られた羨ましさ。
けれど、夫人は言葉を濁した。


