何と言ってやればいいのだろうか。

おめでとう?
良かったね?

でも、今の俺は、
虹心を心から祝うことなんてできない。


その時虹心が、あ!、と声を上げた。


「な……何…!?」


俺は虹心の視線の先を追う。

いつの間にか近づいていた施設の敷地から、一台の車が出て行った。

施設に来客なんて珍しい。
しかも、こんな時間に。


「なんだろ…新しい子が来たのかな…?」

虹心は言いにくそうに言う。

うちの施設は、
個人経営で規模が小さく、
生徒の出入りが少ない。

実際に、了が入った2年前を最後に、
新しい生徒は入ってきていない。