7時少し前。
虹心と待ち合わせ場所に着くや否や、
成宮が俺の腕を引っ張って走った。
「あぁ、おい!」
しばらく走ったところで、
成宮が足を止めた。
「ねぇ、瞬君」
成宮が浴衣を翻して、俺を振り返った。
ふわりと成宮の甘い香りが舞う。
「何?」
「にこっちが、芹沢君に告るの…聞いた…?」
言いにくそうな言葉。
俺は、1つため息をつくと、歩みを進めた。
成宮が隣についてくる。
「あぁ。聞いたよ」
少し先から、騒がしい声が聞こえてくる。
祭りも盛り上がっているようだった。
「瞬君は、どうするつもりなの?」
その一言で、全てを察する。
こいつ、やっぱり俺の気持ちに気づいてたのか…。