君に声届くまで。



背後で、
花火が打ち上がる大きな音がした。


一瞬にして明るくなった世界に、
固まった明君の表情が見えた。

時が止まった私たちの後ろで、
ただ、花火がうち上がる。


そのまま、
しばらく見つめ合う私たち。


明君の大きく開かれた目を、
私も緊張したまま見つめ返した。



その時、私のスマホが鳴った。
その音が私を現実に引き戻す。

ハッとして、
明君から視線を外した。


「あっ…えと…。ごめんね、変な事言って!忘れて!」


火を吹くように顔が熱くなる。

やっぱり、やめておけばよかった。
やっぱり、今までのままで良かったのに。


何も反応がない明君に泣きそうになりながら、
スマホの通話ボタンを押した。