君に声届くまで。


17年前、

後少しで18年前の春。


私は、


児童養護施設 " 桜の丘天使園 " の門の前に捨てられていた孤児だった。



毛布にくるまれて、

名前や育てられない理由が書かれた手紙と一緒に捨てられていたらしい。



園長は、私がなぜ捨てられていたのかは教えてくれない。



ただ、小さい頃から、


『あなたの名前は、親御さんが、いつもニコニコするようにってつけてくれたのよ。だから笑って』


そう言われ続けてきた。

だから、いつでも笑っていた。


『虹心ちゃん、パパとママいないの可哀想』


そう言われても、

いつでも笑っていたんだ。


本当は、
すっごく、すっごく苦しかったけど、
私は、いつか両親が迎に来てくれると疑わなかった。


結局、
迎えには来てくれなかった。


でも、私には、


瞬がいた。


瞬も、また、
私より少し先に、施設の前に捨てられていたらしい。


ずっと一緒だったから、
家族、そのものだった。


でも、


『可哀想』


その言葉は、確実に私の心に傷を作っていた。


いつしか、施設で暮らしていることを隠しはじめていた。


普通の子でいたかった。
同情されるのが、嫌だったから。