君に声届くまで。



震える手を、ゆっくり胸の高さまであげていく。


『あ』


『き』


『ら』


『く』


『ん』


ゆっくり、
一つ一つの文字を伝えていく。

明君は、手話で自分の名前を呼ばれたことに少しびっくりした後、
私を優しい眼差しで見てくれていた。


高鳴る鼓動が明君に聞こえてしまいそうで、さらに緊張が増す。


大丈夫、伝えるんだ。

手を口元に寄せる。
そして、


『大好きです』


そう、伝えた。