君に声届くまで。



「うわぁ!可愛い~!」


水の入れられた袋の中の金魚2匹を見て、私は満面の笑み。

明君は見事、私の雪辱を晴らし、
取った金魚を私にくれた。


『本当に、貰っちゃっていいの?』


改めてもう一度聞く。


『うん。うちはお母さんが猫を飼ってるから、魚飼えないから…』


そういえば、明君の家に行った時、
猫が2.3匹くらいいたっけ…。


『ありがとう!明君!』


私は金魚の袋を、大切に手に下げた。


『まだ、もう少し時間があるね』


明君に言われて腕時計を見る。
まだ、30分くらい時間があるみたい。

私たちは、適当に食べ物を買うと、
出る前に綾子さんに教えてもらった、

人が少ないという川沿いの土手へ向かった。