君に声届くまで。



「こっちこっちー!」


私たちより一足先に待ち合わせ場所についていた希望と明君が手を振っている。


「希望~!明君~!」


私も手を振り返すと、
小走りで希望と明君の元へ向かった。


希望は、あの日買った紫色の上品な浴衣を身にまとい、
サイドテールをお団子にまとめた、
大人っぽい雰囲気を醸し出していた。


「お待たせ~!ごめんねぇ」


明君は黒いワイシャツにズボン。
シンプルなファッションなのに、
すごく似合っている。


「それじゃあ、行こうか!もう始まってるみたいだし!」


「あぁ、おい!」


希望が瞬の手を引いて先に歩いて行ってしまう。

置き去りにされた私は明君と目を合わせる。


『行こっか』


明君のジェスチャーに、
私は緊張しながら頷いた。