「虹心ねぇ、気をつけてねぇ!」
「うん!杏ちゃんも、ちゃんと了君に連れて行ってもらうんだよ〜!」
花火大会当日。
私と瞬は、杏ちゃんに見守られながら施設を後にした。
7時少し前。
こんな時間に友達と遊ぶなんて、
なんだかドキドキする。
でも、ドキドキする理由は、
それだけじゃない。
私は今日、明君に自分の気持ちを伝えようとしていた。
もっと、明君に近づきたくて、
もっと、明君のことを知りたくて…。
私は、自分の姿を手鏡でチェックする。
「ねぇ、瞬、おかしくない?」
今日のために希望と選んだ浴衣。
色はもちろん、水色だ。
伸ばしっぱなしだった髪も、
今日はしっかり纏めてきた。
薄いけれど、メイクだってした。
「ん…?あぁ、可愛いよ」
瞬は、なんだか興味なさげだった。
さっきから、心ここに在らず、という感じで、ボーッとしている。
どうしたんだろう……。