君に声届くまで。



「うわぁ!!可愛いのがいっぱい!」


「ちょっと、にこっち。あたしたちは浴衣見に来たんだよ〜?」


夏休みが近くなり、
日が長くなり始めた今日このごろ。

私と希望、瞬、明君の4人で、
ショッピングセンターに浴衣を買いに来ていた。


と言っても、女の子の買い物は時間がかかるので、

男の子たちには、近くのカフェで待っていてもらっているから、別行動なんだけどね。


「見て見て、この浴衣!フリルがすっごい付いてるよ!」


はしゃぐ私とは対照的に、
希望は、う〜ん、と首をかしげていた。


「にこっちなら可愛い系も有り…?いや、でもここは、いつもとは違う大人っぽい雰囲気のにこっちにドキドキが止まらない!ってのも有りか……」


1人どこかへ意識を飛ばしている希望。

ここまで希望が本気になる理由。

私が、希望にあんなことを言ってしまったからだよね…?


『私……ちゃんと明君に気持ち伝えたいな……』


今思えば、なんであんなこと言ってしまったんだろう、と思うけど、

でも、その気持ちは今も変わっていない。