君に声届くまで。



「なにお前、もうアイツと友達になったの?」



瞬が不思議なものでも見るかのように、
目を丸くしたまま私に視線を向けた。



「うん!明君、すっごい優しいの!」



私が熱弁すると、
瞬は少し複雑そうな顔をした。



「そっか…」



「なんちゅー顔してるんすかぁ、兄さん。にこっちとあの子の机がくっついてるからって変な妄想はやめてくださいよぉ」



変な空気になった場を盛り上げるように、
希望が瞬をイジル。



「あぁ?うるせぇデカ女!離しゃーいいんだろ!?」



瞬はいつもの調子に戻ったように希望に言い返すと、

くっついた私と明君の机を離す。



希望は、よく人を見ている。


場の空気が悪くなれば、
一番良い形で元の空気に戻そうとしてくれるし、切り返しも上手い。



「デカ女ってなによ!にこっちとあの子が机くっつけたとき泣き……ふゅっやえろぉ!」



希望の言葉に、
瞬が希望の頬をムギュッとつねる。



「次言ったらぶっ殺す。100回殺す」



瞬は怖い顔でそう言うと、
希望の頬を離して、
私の手を引っ張る。



「虹心、帰るぞ」



「あっ、瞬、待ってよ!」



私は希望に手を振る。



「また明日ね!」



「うん。また明日。……ただの幼馴染みなのに、あそこまで執着するなんてね……」



ボソッと言った希望の言葉に、

私は、えっ?と聞き返そうとしたが、
それを瞬が許さなかった。



「なぁ、虹心」



人が少なくなった下駄箱で、
瞬は真面目な顔をして私を見下ろした。