君に声届くまで。




「にこっち、あんた初日から忘れ物とかマジギャグ」



帰りのHRを終えて放課後。

希望から飛んできた第一声はそれだった。



「うぅ…希望のバカ!」



「人のせいにすんなって。俺、朝も言ったはずだけど?」



私の抗議に、瞬がすかさず意地悪な笑顔を浮かべて言う。



「家出るとき確認してよ!初日からとかありえ ──────」



「にこっちと瞬君、家隣なの?」



希望のビックリしたような言葉に、
私は息をつまらせた。



「ちっ、ちがう!メールメール!」



急いで弁解する私に、
瞬は呆れたように悲しそうな笑みを浮かべた。




──── ごめんね、希望。


今のは、半分ホントで、
半分嘘です。




少し気まずくなって視線をそらすと、

ちょうど明君が席を立ち上がった時だった。



「あっ!明君!」



聴こえるはずもないのに、
私は声をあげた。


もちろん、明君は知らん顔。



私は、立ち上がって明君の袖を引っ張った。


明君はビックリした顔で、
私に振り返る。



「またね!」



なるべく大きく口をあけて、
手を振りながら言ったから、
多分伝わったと思う。


明君はまた微笑に戻ると、
小さく手を振り返してくれた。


そのまま、明君の背中が教室を出るまで見つめていた。