君に声届くまで。



と、その途中、
とんでもないハプニングが起こる。


明君の後ろ姿をボーッと見つめていると、
ツルっと滑って階段を踏み外してしまった。


「あっ……」


まるでスローモーションの様に映像が流れていく。

私の異変に気がついたのか、
明君が私の方へ振り返った。

明君と目が合う。

びっくりした明君の顔。

そして、そのまま私たちは2人して階段を転げ落ちた。



「っ……たぁ……」


幸い、残り2段くらいだったので、
大怪我をすることはなかったけれど、
問題はここからだった。


私は明君の上にまたがるように落ちていた。

明君の体温。
明君の細い身体。
明君の息遣い。

全てがはっきりと私に伝わってくる。


「あっ……あ…明…君…」


真下にある明君の眠そうな目が、
だんだんと大きく開かれていく。

全てを認識したのは、
吐息がかかりそうなほどの距離だったお互いの顔が、真っ赤になってから。