…………何、あいつ。
何かやたらハァハァうるさいし、私のあとをついてくるし、電柱の後ろに隠れてるし。
ストーカーってやつ?
……………もしそうなら、どうしよう。
頼れる相手なんていないよ…。
とりあえず走ってあいつまいてやる!!
「はっはっはっ………はあ…。」
かなり路地裏とか色々まわったし、もう、いないよね。大丈夫だよね……?
「はぁ…はぁ……っ。」
嘘、まだいる。まだつきまとってくる!
いや、いや…こないで、こないでよ。ついてこないでよ!!
私はそいつから後ずさりしていると、
そいつは電柱からこっちへきた。
「!!……あんたは、同じクラスの…。」
ストーカーは同じクラスの男子だった。
……けど名前思い出せない。
誰だっけ……。ていうか何なの…。
というか、背ぇ高いな。
「お、覚えてくれてたんだね…。」
「い、一応同じクラスだし…。
ていうかなんなの?何でついてくるの?
やめてよ!」
「ぼ、ぼく、いつも、ずっと、佐久さんのこと見てたよ…。」
本当の本当にストーカーだ…。
「いつも一人なのも、いじめられていることも…。いじめられるの、辛いよね。」
ん、あれ、労わってくれるの?良いやつ?
「でも、これからはもう大丈夫…。殺して、悲しみから救ってあげるから…!」
そしてそいつは、学校の鞄から布に包まれた包丁を取り出した。
「君を殺したら、僕も死ぬから、安心して…。死んでも一緒にいてあげるから、寂しい思いはさせないよ…。」
…………は?!何言ってんのこいつ…?!
というか学校になんてもん持ってきているんだよこいつ!!!
いやそれどころじゃない。こいつ、本気だ…!
「い、いや…!こないでよ!!」
「大丈夫…。痛いのなんて一瞬だから…!」
そして男は、布が外れた包丁を私に振りかざした。