「……ねぇ秋穂ちゃん。」

「なんですか?」

陽子さんは私の腕のシャツをまくりながら、聞いてきた。

「この痣も、転んだ時にできたの?」

「へ………あ、………!」

その痣は、クラスのいじめてくる女子が私を押して、腕に痣ができた時の傷だった。
…他には特にないから、そういうことで、大丈夫…だよね…?

「た、ぶん、そうです。」

「そう…。それと、これ、こけた傷というより切り傷よね?」

「…………っ。」

やっぱわかるか…。それにこけたとき、こんなところ怪我しないもんね…。

「まあ訳はお兄ちゃんに聞くからいいとして。
秋穂ちゃん。私はもう、貴方を家族同然として思ってるの。
だから、何か隠していることがあればいって欲しいの。辛いことも、悲しいことも…。
全部私達は受け止めるから。」

……陽子さん…。そんな風に思ってくれてたんだ…。
……………優しいなぁ………。
でもいじめは、言えないな…。
私がうつむいていると、

「……まあ無理強いはしないから安心して!
さ!怪我のところ、包帯巻いたよ。
血が結構出てるから、傷、深いかもしれない。
明日、主治医の先生のとこの病院行こっか!」

「はい…!」

今日は父親と陽子さんのお陰で、結構元気でたなぁ…。

「あ!それと、律郎が教科書見て頭抱えてたから、教えに行ってあげて!」

「はい!」

陽子さんはニコッと綺麗な笑顔をしていた。