「………そ、それ…は…」
白石くんが、“白血病”ということ。
でも、そのことを磯原くんに言ってもいいの?
白石くんが白血病ということは、たぶん磯原くんの家族と高野先生とあたししかいないだろう。
白石くんは、白血病のことをみんなに言うのを嫌がってるっていうか、
言おうとしてないって言うか。
隠してる、のかな?
あたしが黙っていると磯原くんが口を開いた。
「……どーせ何も知らないんでしょ?何も知らないのにそんなに白石のこと庇って、白石にとっても神崎さんって迷惑なんじゃねーの」
「……えっ…迷惑?」
……もしかしてあたし、磯原くんが言うように迷惑だったとか?
でも……何も知らないっていう訳では…ない、けど。
…そっか、まずみんなに白血病ってことを言わない時点で
隠したいって思ってるのに、それをあたしが無理やり聞いちゃってたのかも。
もしかしたら、磯原くんの言うとおりなのかも知れない。
「神崎さんのやったことって、ただのおせっかいなのかもな。白石にとって」
磯原くんはそう言うと、教室を出て行ってしまった。
あたしはなんだか虚しくなって、空を見上げた。
今日の空は、曇っていて灰色だ。
「おせっかい、か……」



