「……ぉはよぅ…ございます」
………誰もいない。
ちょっと早すぎたかも。
あたしはいつもより早く学校に来て、みんなが来る前に
白石くんにブレザーを返しちゃおう、と思ったけど、
白石くんも早く来てないとダメだった。………バカだ。
「………はぁ」
あたしは一つため息をついた。
その時、教室のドアが開いた。
────ガラガラッ
あ、誰か来た。
早く来すぎたと思ったけど、そんなに早くないのか。
そんなことを思いながら、あたしは後ろを振り向いた。
「………あっ」
あたしはつい、“あっ”という声を出してしまった。
ウソ………こんなに早く来るんだ。
教室に入ってきたのは、昨日あたしが平手打ちしてしまった
磯原くんだった。



