空になったキミへ





 白石くんは、無我夢中になって走っている。


 いきなりどうしたのだろうか。




「……ハッ…ハッ…白石くん…どうしたの…?」


 返事は……返ってこない。



「ねぇ……白石くん…白石くんってばっ!」


 視界が突然真っ暗になる。

「きゃっ」



 白石くんが突然止まったのだ。

 



 気づけば屋上にいた。


 こんな所まで走ってたんだ……ていうか。
  
 


「……」
  


 あたしは自分の腕を見た。

 
 がっしりと白石くんに掴まれている。 





「あの…白石くん……ん」




 あたしは、顎で白石くんに掴まれている腕を指した。



「……あっ…」



 白石くんは、我に返ったようにあたしの腕を離した。





 なんか……ちょっと緊張したなぁ。



 なんていうか、少しだけ……ドキドキしちゃった。





 なんて、なに考えてるんだろ、あたし。