空になったキミへ






「はぁー。……春でもやっぱまだ寒いなぁー。早く帰ろっ」




 あれー今何時だろう?

 十九時二十三分か。結構時間経ってるから急ご。




 陸人がお腹を空かせて待ってるよぉ。





「……ん?あれ?」


 道の端に立っている、高校生くらいの男の人。



 あれって……白石くん!?


 えっウソ!こんなところでばったり!?



 うわぁ……制服じゃない白石くん、初めて見たぁ。


 私服の白石くんかっこいいなぁ……って、なに考えてんだろ、あたし。


 変態じゃん!……とりあえず、話しかけてみようかな?





「……し、白石くん?」


「……」



 白石くん、気づいてないなぁ。


 よし、もう一回。



「白石くん!!」


「……」


 振り向いた。


 ……なんて話そう。


 ……えっえと…。




「こ、こんなところで、偶然だね」

 なんか固っ!



 緊張しすぎだあたし。


 落ち着けよ、あたし。




 深呼吸、深呼吸。