空になったキミへ






 転校生の白石くんは、謎ばっかり。



 さっきからずっと空を眺めている。

 




 窓の隙間から吹くそよ風が、白石くんの髪をなびく。

 キレイ。



 白石くんの髪の色は、純粋な黒髪。 


 あたしの髪は……少し茶色がかってるから、なんか羨ましいな。




 キレイな黒髪が風になびかれている白石くんは、とても絵になるな。







「じゃあ次のところを……神崎。読んでくれ」


「へっ?……あっ、えっと」

 あれーどこ読むの?




 あたし、白石くんに見とれてた。


 いや、見とれすぎてた。




「神崎ー!ちゃんと聞いてろよ」





 白石くん……まだ、空を眺めている。


「……はい。すみません」




「じゃー永島、読んでくれ」






 はぁー焦った。突然過ぎでしょ、高野先生。


 ……ちゃんと授業に集中しないと。