空になったキミへ








「 みんなおはよう!」



「おっはー犬若丸(イヌワカマル)」



「そのあだなは、やーめーろ」



「とか言って、本当は喜んでるんじゃないの~諒太先生」



「ぐはっ!バレたか~」





 なんて、ちょっとした寸劇をしているうちのクラスの先生。


 高野諒太(タカノリョウタ)先生。今年で26歳になるって言ったっけ?若いよね。





 あたしは高野先生って呼ぶけど、みんなの先生に対しての呼び方が半端ない。
   


 高ちゃんとか、高ぴーとか、諒ちゃんとか、犬若丸とか。




 犬若丸っていうのは、歴史に出てくる源義経の小さい時の名前を、少しいじった感じ。


 高野先生、源義経が大好きらしい。それと、犬も大好きなの。


 それを知ったうちのクラスの男子が、牛若丸の“牛”を“犬”に変えて、



 犬若丸はどうかって言いだしたの。





 当の先生は、そのあだな結構気に入ってるみたい。