君は海だ。

優しく、とても残酷で、それなのに人は君に惹かれる。



沈没するとわかっていても、彼女という海原へと飛び出した俺はもう、陸へは帰れない。






触れられてもすり抜ける存在から離れるなんて考えられない。

そんな馬鹿な俺は震える唇をばれないようにミオの髪に触れさせた。










落ちた塩からい雫は、海に溶けた。






               fin.