狐と嫁と溺愛と

あたしはそんな犠牲の上で生きていたんだ…。



「お母さんって自分勝手…」

「いや、俺が命じたんだ。ナナを育てる適任はジローだと」

「どうして…?」

「妹の恋人で、俺にいちばん近い存在がジローだった。信頼もしてるし、家族のような関係だったからな」

「そうなんだ…」

「お前が気にやむことじゃない。15、6年なんて、俺たちからすればすぐだ」




苦笑いのお父さん。



きっと、寂しい思いをさせた大河さんの妹さん。



やっぱり、心が苦しいよ…。



「怒ってない?か、彼女さん…」

「元から気性の荒いヤツだから。まぁ、時間が解決するだろうよ」

「怖い人なの⁉︎」

「そうだな、ナナなんて瞬殺だな」



う、うそ…。



大河さんは穏やかなのに?



いや、怒った時は怖かったな…。



「今度会わせてやる。誕生日が過ぎたらな」

「怖いよ‼︎」

「呼んでやろうか?ここに」



とりあえず全力で首を横に振っといた。