狐と嫁と溺愛と

このままずっと寝てたいよ…。



夢の中でそう思ったのに、トントンっと肩を叩かれ目を開けた。



駐車場…?



「着いた。歩けるか?」

「ん、たぶん平気」



一緒に車から降りて気がつく。



乗ったことのないワンボックスだ。



黒で、汚れひとつなくて。



「初めて乗った、これ」

「俺は久しぶりに運転した。これがいちばん揺れない車だからな」



そういう気遣いが好き。



まだモヤモヤと気持ちが悪いけど、病院に入って受付をすませる。



妊娠の可能性を伝えると、尿検査から。



あたしの子は大河さん、妖の子。



生まれる姿は人間なの?



ちゃんと成長するの?



不安だ…。



「華山ナナさ〜ん」



ドキドキしながら診察室へ。



って、なんで着いてくるの?



「ここの医者、全員妖。ちょっと挨拶しないと」



まぁ、そういう理由なら仕方ないか…。



中に入ると、一瞬、本当に一瞬だけ、女医さんの下半身が魚に見えた。