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誘拐事件からしばらく、久しぶりの学校は文化祭の準備に追われていた。



あたし以外のみんなは学校へ行ってて、あたしだけ家に閉じこもってたわけだけど。



妖の世界から戻っても、大河さんがあたしを外に出したがらずに…。



完全にケガが治るまでは行かないでくれと…。



そんなの、あたしを家から出さないための口実だったんだ。



傷が治ったから学校へ行くと言うと、大河さんはいい顔をしなかった。



だけど、残り少ない学校生活、楽しみたいし…。



あたしたちは誰も進学しないので、卒業さえできればいい。



だから楽しいだけの学校。



「秋銀ちゃん、あたしはなにすればいいの?」

「ナナちゃんは裏方だよ。大河様があんまり外に出すなって言うから」



学校ではあたしをナナ様からナナちゃんと呼ぶ秋銀ちゃんと金次くんは、黙々と看板作り。



モテモテのふたりは、周りをあまり気にしてないようだけど、相当騒がれてるんだよ。