狐と嫁と溺愛と

抱き上げられて、しがみついて泣いた。



あたしを抱えて歩くなんて重いんじゃないかとか、誰かとすれ違ったら変な目で見られるとか。



そんなこと、一切考えられなかった。



ただただ、怖くて、悲しくて。



家に帰るまで、顔を上げることができなかった。



「ナナ様っ‼︎」

「村上、後で話がある」

「はい…」

「高島、俺の部屋の風呂、よろしく」



みんなが心配してくれている。



それは痛いくらいわかるのに、顔をあげられない。



今はこのまま、大河さんに抱きついていたかった。



抱き上げられたまま初めて入った大河さんの部屋。



「熱い?」



その言葉に頷くと、大河さんはあたしを抱っこしたままどこかへ座った。



ソファー?



「寝る?それとも、風呂入る?」

「寝…?」



顔をあげれば、大河さんのベッド。



真っ黒なシーツや枕。



大河さんらしい…。



「話を…したいです…」



いつの間にか震えが治まってる…。