腰にある痣にたどり着くことが不可能な着物。



あたしを抱っこした大河さんは、膝の上に乗せて帯に手をかけた。



「んっ⁉︎」



自分の着ていた羽織りを脱ぎ、あたしにかけて見えないようにしてくれたけど…。



恥ずかしくて死ねる。



はたから見れば着物に隠れてゴソゴソなにやってんだって感じでしょ‼︎



「ふぁ…」



だけど、痣を触られたら抗えなくなる。



頭の中で喰べてもらうことだけ考えてて。



自分の体力が減るのに喰べてほしいなんて、やっぱりどうかしてる。



「ありがと。帯は適当に直した。このまま羽織って風呂にでも行け。で、先に寝ててくれるか?」

「ケガしないで帰ってくる?」

「あぁ、努力はする」



目には見えないけど負傷中の蘭月さんを屋敷に残し、リンさんが帰ってきてから出かけて行った。



無事に帰ってきて。



それしか望まないから…。



大河さんが痛いのは…イヤだよ?