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大河さんがおかしくなってからしばらく、いつもの日常に戻ったけど…。



「大河とやり合おうなんて、バカとしか言えねぇだろ…。俺でさえ勝ったことねぇのに」



大河さんが志鬼くんのお父さんに連絡して、急遽やってきた。



久しぶりに見る鬼さんは、大河さんを責めるわけでもなく、笑ってるくらい。



志鬼くんのケガは徐々に治ってはいるけど、完治するまでにはまだ時間がかかる。



脇腹に穴空いてるなんて、普通の人間なら死んでるよ…。



「悪かったな、遊鬼。大事な息子に…」

「平気平気、俺たち、体だけは頑丈だから」

「本当にすまない」



何度も頭を下げた大河さんは、いつもより暗い。



大事な人たちを殺そうとしたなんて、すごくショックなんだろうな…。



「俺らのケンカなんて、こんなもんじゃなかっただろ〜。お前の腕、何本切り落としたか」

「それとは違うだろ。俺が一方的にやったんだ…」

「気にすんなって。で、志鬼は大河んとこで勉強してぇって言ってんだけど」

「何も教えることはない」



そうだよね、いつも仕事三昧だもん…。