布団に寝かされ、頭の上には冷たいタオル。



「眠るか?」



大河さんが帰って来た安心感で、正直眠い。



だけど、寝たらダメな気がして、横に首を振った。



「大河さん、蘭月さんを怒らないで…。迷惑かけっぱなしなのに、ずっと看病してくれてたの…」

「それは俺の決めること」

「蘭月さんになにかあったら、大河さんのこと嫌いになっちゃうからね…」

「お前は優しいな…」



きっとここでは、大河さんが全て。



さっきのように理不尽なことでも、大河さんがそう言えば、それが正しくなるんだ。



上下関係がハッキリしてると言うか、大河さんが横暴と言うか…。



「申し訳ございませんでした」



深々と頭をさげる蘭月さん。



あたしが悪いのに、どうしてあなたが謝るの…。



「当主様から奥方様を任せられたのは私。なにがあろうと、あなた様の身を守るのが仕事だったのです」

「あたしが弱いからっ‼︎」

「違います。私が任を全うできなかったのが悪いのでございますよ」



そう言って笑顔を見せた。