それだけが救い。



看病をしてくれる蘭月さんや双子の狐さんたち。



一向によくなる気配はなく、熱と戦う日々。



覚醒前の熱との戦いからすれば、少しはマシだけど。



でも、1日中はキツイ…。



そんな時、やっと朗報が入った。



「今から戻られるとのことです」

「よかった…」

「すぐにあちらの医師に診てもらいましょう」




会いたくて仕方なかった大河さんが、やっと戻ってくる…。



蘭月さんに止められるのを聞きもせず、フラフラしながら玄関に向かった。



開け放たれた玄関から、人影が3つ。



何かを話しながらやって来るその人は、あたしが待ち望んでいた人…。



「玄関で出迎えとは、そんなに寂しかったか?」

「大河さ…」



手を伸ばしたら、そのまま倒れ込むように大河さんの腕の中。



この匂いだ…。



これだけで、安心できる…。



「親の前でよくもまぁ、イチャつけるもんだ…」

「この子が兄様の嫁?うまそうな匂い…」



女の人の声…。