狐と嫁と溺愛と

最愛の女性と、友達と呼べる仲間を一気に失った絶望感。



「もう二度と、人間に感情は持たないと誓った。家に人を寄せ付けず、結界も強いものにして」

「その人は…どうなったの…?」

「言いたくねぇな、この先は…。残酷で、思い出したくない過去」

「だったら…言わなくてもいい…」

「嫌われたくねぇんだ、お前に」



大河さんの過去。



きっと、重くて辛い思い出。



「裏切られるのはイヤなんだ。だから、俺はお前に感情を持ちたくない」



バッサリと切られた気分だ。



大河さんはあたしを好きにならないと。



「でも…ナナを見てるとなんかしてやりたいし、心配もする。それに、触れたくてたまらない」

「えっ…」

「俺が欲しいのはお前の力と、お前の力を持って生まれる子どもだ。そのはずなのに…。お前の気持ちを知って、嬉しいと思った…」



泣きそうだ…。



ウソでもいいよ。



その優しいウソを、ずっとつき続けて。