狐と嫁と溺愛と

前にも言っていた。



あたしに子どもを産んでくれと。



それにどんな意味があるのか、そんな話したこともなかった。



好きだとか、そういうのは関係ないんだった。



あたしは大河さんの道具で、好きで結婚したわけでもないし、大河さんがあたしをそういう対象で見てるかもなんて、考えが甘すぎた…。



「お昼ご飯の用意するからっ」

「ナナ、ごめん…」

「えっ…?」

「いや、なんでもない。昼メシ、期待してる」



逃げるように書斎から出た。



ダメだ、泣きそうだ。



この思いは報われないんだ。



あたしと大河さんじゃ、生きてきた環境が違いすぎる…。



どうして…妖なの…?



なんで人間じゃないの?



好きになっちゃ、いけなかった…。



この気持ちの行き場はどこ?



キッチンに駆け込み、しゃがみこんで泣いた。



片思いってこんなに辛いのか。



誰も好きになったことがなかったから、こんな感情知らないよ。



消化の仕方も、わからない…。