狐と嫁と溺愛と

返答に困っていたら、大河さんが急に妖の姿になった。



尻尾だけ消してるのか、いつも背後にあるフワフワは見て取れない。



人差し指をクイっと動かすと、あたしの体が勝手に大河さんの方へ向かう。



「なにっ⁉︎これ‼︎」

「妖術と言えばいいか」

「ちょっ、なんで⁉︎」



大河さんによって動かされた体はすっぽりと腕の中。



だ、抱っこされたっ‼︎



「甘い…」



首元に顔を埋める大河さんがそう呟くと、一気に体温が上がる。



ドキドキして、心臓が痛い‼︎



「つ、疲れてるのっ⁉︎」

「いや?」

「はな、離さない…?」

「なんで?俺の妻を俺の好きにして、何が悪い?」

「だって‼︎」

「コーヒー、飲むか?」

「いらなっ…」



コーヒーを口に含んだ大河さんが、有無を言わさずあたしにキス。



あったかくて苦い味が口の中に広がり、これが口移しなんだと、理解するまでに時間がかかった。