「綾瀬!その髪色はいつ直すんだ」
夏休みまであと20日。
ジリジリと照りつける太陽のせいで、室内のくせに耐えられないほど暑い。
こんな日は炭酸でも飲みたい。
そう思って自動販売機に向かおうとした時。
廊下から、聞き覚えのある名前。
「直さないよ……?」
「ふざけるな!黒にしろ、黒に」
明るすぎる髪色を生活指導の先生に怒られている、ミルクティー色の髪の凛子。
うちの学校はそこまで厳しくないから、茶髪くらいなら黙認されてる。
俺も暗めの茶色だけど、怒られない。
だけどさすがに凛子の髪色は明るすぎて、もう今月入ってから注意されてるのを見るのは3度目だ。